2012年春の観察後の考察「ムラサキツユクサの異常は本当に放射線によるものなのか」

福島原発の事故から1年経過した2012年。


ムラサキツユクサの花びらを毎日毎日観察していてわかったのは、
同一の株でありながら毎日違うデザインの花を咲かせているということ。

5月に観察していた
何株かある雨どいの近くのムラサキツユクサのうちの一株に注目してみます。
(以下の画像は5月7日から5月21日までの記事から。)














同じ株でありながら、色も形も一定ではありません。
しかし、植物の形質発現は当然のことながら遺伝子によって支配されていますから、同一の株に全く異なる形質の花が咲くということは通常ないはずです。
だとしたら、このムラサキツユクサには、本来現れるべき形質が現れていないのではないかということが予想できます。
そして、この株の親の親の親の…親である16年前のムラサキツユクサ以来、育て続けてきた子どもの株は毎年毎年ほぼ同じ色と形であったという事実もふまえると、この植物の遺伝子は変異を起こしやすいものではなく比較的安定した形質を現すものであったという事実、また去年今年の変化がわが家の特定の場所にある1個体単独の異常ではなく、わが家の敷地内全体、さらには数㎞先のムラサキツユクサにも起こった同時多発的な異常であることから、その辺り一帯に共通する何らかの「変化」が原因ではないかと予想できます。
そして、十数年間観察してきたムラサキツユクサとの様子に違いが出たのは、2011年5月が初めてのことですから、放射線の性質を踏まえ、福島原発事故由来の放射線によってなんらかの影響があったのではないかという仮説がたてられると思います。



[仮説の証明のために]

福島原発事故以前からずっと室内に置いてあった観葉植物の鉢と土(放射能汚染がほぼないだろうと考えられる)に、上の写真の花を咲かせた「雨どい近くの株」を掘り上げ、全体を水道水でよく洗ったあと後植え、放射線量が安定して低い室内(エアカウンターの測定値で0.05~0.07μSv/h)で栽培する。

もしも、放射線の強さの影響を受けて花の状態が変化するのであれば、
放射線の影響を極力抑えてやることで遺伝子の状態がはっきりわかる花を咲かせるようになるはず。


実験




5月21日(月)
原発事故前からずっと室内にあった「オリヅルランが植わっていた土」をつかいました。

庭から上の写真の花を咲かせたムラサキツユクサを掘りました。


掘り出した後、土をよく落とし、全体を水道水で洗い「オリヅルランが植わっていた土」に植え玄関にいれました。

経過の観察

フラッシュをたかないことにこだわったため、拡大すると画像がかなりぼやけております。


5月22日(火)


5月23日(水)


5月24日(木)


驚いたことに、室内に入れてわずか3日後の5月24日段階で、雨どいの近くで栽培していたときの花とは全く異なる、原発事故以前の長い間自分が目にしていたムラサキツユクサの花に近い花びらの色おしべの毛の色となりました。



5月26日(土)せっかくきれいな花が咲いたので、しっかり記録を残したく、フラッシュをたかないことにこだわるのをあきらめてフラッシュをたきました。



5月26日(土)角度を変えて撮影



実験のまとめ

以上の実験により、ムラサキツユクサは、室内で栽培すると花びらの色や形、おしべの毛の色がよく知られている形質となることがわかった。
外にあり中にはないもの=福島原発事故由来の放射線が異常な花を咲かせるようになった原因であると考えられる。







この記事の土台となっている観察は、ラベル ムラサキツユクサ室内栽培実験(2012)